国産農業バイオマスを用いたバイオ燃料生産の可能性

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タイトル別名
  • Feasibility study on producing domestic biofuels from agricultural biomass in Japan

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世界各地では,化石燃料依存からの脱却,地球温暖化防止への貢献,農村における雇用の拡大などを目的として,近年大規模なバイオ燃料の生産が拡大しているが,それに伴う熱帯雨林の破壊,土地・水資源の逼迫などが懸念されている。一方で,我が国は,耕作放棄地や未利用バイオマスを活用した,土地利用の改変を伴わないバイオ燃料生産拡大の可能性を有している。そこで本研究は,国産バイオマスを用いたバイオ燃料生産について,ライフサイクルアセスメントとコスト分析を行い,さらに全国的にみた生産ポテンシャルを概観する。結果として,以下の点が明らかとなった。(1)エネルギー収支,土地利用効率および温室効果ガス削減の観点からは,おおむねサトウキビ・テンサイ・イモ類(バイオエタノール),ソルガム・稲わら(バイオメタノール)が高く評価された。(2)生産費の点からは,バイオメタノールおよびジャガイモ・テンサイのバイオエタノールが比較的商用生産への距離が近いとみられた。しかしながら,化石燃料と同等の生産費を実現するには,さらなる作物栽培費の低減が必要である。(3)作物残渣・リグニンを代替エネルギーとして活用すること,および発酵廃液の農地還元システムに組み込むことが,エネルギー収支などの向上を図るうえで重要である。(4)耕作放棄地へのイモ類・サトウキビの作付けおよび全国の水田からの稲わらの収集により,バイオエタノールの純生産ポテンシャルは全国のガソリン消費量(2007年)の1.62%,また温室効果ガス削減ポテンシャルは全国排出量(1990年)の0.23%であると試算された。

収録刊行物

  • 農村工学研究所技報

    農村工学研究所技報 (211), 131-151, 2011-03

    つくば : 農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所

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