メダカとマウスが語るステリグマトシスチン : ステリグマトシスチンの一研究から垣間見た前世紀の癌研究の印象

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  • メダカ ト マウス ガ カタル ステリグマトシスチン ステリグマトシスチン ノ イチ ケンキュウ カラ カイマミタ ゼン セイキ ノ ガン ケンキュウ ノ インショウ

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抄録

マイコトキシンの一つであるステリグマ卜シスチンの発癌性を,メダカとマウスを用いて検索を行った。その結果興味ある病理組織学的変化を呈した。ステリグマトシスチンはカビ(Aspergillus属)の二次代謝産物で数種類の実験動物に対して強い発癌性を示すことが知られている。またメダカは淡水性の小型魚類で古くからさまざまな実験で使用されている。ステリグマトシスチンを5ppm含む飼料をメダカに6週間与え短期間で硬変様変化を伴う肝細胞癌の発生が認められた。さらに電子顕徴鏡観察で脂肪摂取細胞の線維芽細胞への移行像やoval cellによる管腔形成も観察された。またBDF1雌マウスに30,120ppm含む飼料をそれぞれ55,51週間与え肝臓と背部皮下の褐色脂肪組織に血管肉腫の発生が見られた。この投与量による発生部位の違いはとても興味ある結果であった。最後に前世紀のわが国の癌研究はなやかなりし時代を振り返り二三の印象を述懐する。

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