茶園のハマキガ類に対するトートリルア剤(ハマキコン-N)の実用性評価

書誌事項

タイトル別名
  • チャエン ノ ハマキガルイ ニ タイスル トートリルアザイ ハマキコン N ノ ジツヨウセイ ヒョウカ

この論文をさがす

抄録

静岡県牧之原市布引原地区の平担地茶園13haにチャハマキおよびチャノコカクモンハマキの交信攪乱剤「トートリルア剤」を2004年~2009年の6年間設置し,その実用性を評価した。フェロモントラップによる誘引阻害率は,本剤250本/10a区ではハマキガ2種ともにほとんどすべての世代で95%以上を示した。250本処理の周辺部または本剤150本/10a区では,ハマキガ2種ともに全世代の8割以上で誘因阻害率95%以上を示したが,250木/10a区よりもやや不安定であった。また,全般に第2世代以降の世代で,誘引阻害率が不安定になる場合が見られた。フェロモン(Z11-TDA)の大気中濃度は,150本/10a区では250本/10a区より低く,ディスペンサー内の残存量から推定した放出速度は,Z11-TDA,Z9-DDAともに9月以降は激減し,特に後者の減少は著しかった。これらの結果から,フェロモンの大気中濃度が誘引阻害率に影響したことが示唆された。ハマキガ類の幼虫密度は,250本/10a区,150本/10a区ともにほとんどの世代で慣行防除区と同等か低かった。ハマキ対象の殺虫剤散布回数は,交信撹乱区では慣行防除区の約1/2であり,トートリルア剤の密度抑制効果はハマキガ2種ともに総じて高いことが示された。誘引阻害率に及ぼす諸要因を検討した結果,誘引阻害率が低下すると次世代の幼虫密度は高まる傾向がみられ,第2世代の誘引阻害率には処理前の越冬世代密度や4月~7月の降雨日数が関与することが示唆された。以上より,トートリルア剤は,大面積処理の条件では慣行防除と同等以上の密度抑制効果を示し,減農薬に寄与するIPM資材としての実用性は高い。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ