Analysis of the pod abortion caused by low temperature and of the seed coat discoloration induced by low temperature or virus infection in soybean

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  • ダイズの生殖生長期間における低温並びにウイルス感染による障害発生機作の解析
  • ダイズ ノ セイショク セイチョウ キカン ニ オケル テイオン ナラビニ ウイルス カンセン ニ ヨル ショウガイ ハッセイ キサ ノ カイセキ

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Abstract

1)低温による着莢障害を解析するため,播種時期をずらして得た様々な生育ステージの植物体を7日間15℃(昼)/10℃(夜)で低温処理し,開花7~12日後の莢の伸長により判定して算出した“受精莢率”を用いて個々の花における低温の影響を評価する手法を確立した。2)1)の方法を用いて,生殖成長期間における低温感受性期は四分子期前後(開花12.5~13.5日前)と開花直前(開花2~4日前)に存在することを明らかにした。さらに,低温による受精莢率の低下は,開花直前の低温では葯の裂開不良または花粉の飛散不良が,四分子期前後の低温については花粉の発達異常とこれに伴う葯の裂開不良または花粉の飛散不良が受精莢率低下の原因であると推定した。3)障害型冷害年に子実重の低下が小さかった「十系978号」と子実重の低下が大きかった「トヨムスメ」について,1)の方法を用いて四分子期前後の低温による受精莢率の低下程度を調査し,「十系978号」の受精莢率の低下程度は「トヨムスメ」より小さく,四分子期の低温感受性が低いことが示された。また,圃場での低温遭遇事例において受精莢率を調査することでも同様の結果を得た。4)3)における四分子期の低温に対する抵抗性の評価,障害型冷害年の子実重の低下程度および従来の耐冷性検定法による評価の3者を比較した結果,従来の耐冷性検定方法に四分子期前後の抵抗性の評価を加えることにより,これまでより障害型冷害に強い品種の育成が可能になることを明らかにした。5)CHS遺伝子の逆位反復配列であるGmIRCHSを有し低温着色抵抗性が弱い「トヨムスメ」と,GmIRCHSの対立遺伝子で逆位反復構造をとらないGmASCHSを有し低温着色抵抗性が強い「トヨハルカ」との間で作成した組換え自殖系統(RILs)について,GmIRCHS座の遺伝子型と低温着色抵抗性との関連を調査した。その結果低温着色抵抗性の品種間差はGmIRCHSの遺伝子型によるものであることが示唆された。6)由来の異なるダイズ40品種・育成系統を使ってGmIRCHSの遺伝子型と低温着色抵抗性の強弱との関連を調査し,GmIRCHSの遺伝子型が「トヨハルカ」型の品種・系統は全て一定のレベル以上の低温着色抵抗性を示すことから,GmIRCHSは低温着色抵抗性の選抜DNAマーカーとして利用できることを明らかにした。7)ウイルス感染によるダイズ種皮の褐斑の発生メカニズムを明らかにするため,感染により褐斑を生じるCMVダイズ系統と,褐斑を生じないCMVシュードリコンビナントの間でキメラウイルスを作成し,それらの感染による褐斑の発生を調査した結果,褐斑が生じるかどうかは2b遺伝子を含む領域によって決定されていることを明らかにした。CMVの2bタンパクはRNAiのサプレッサーであることから,これによりダイズ種皮におけるCHS遺伝子のRNAiが阻害された結果,種皮における色素合成が部分的に活性化されて種皮に褐斑が生じている可能性が示唆された。8)ダイズ品種「Harosoy」において,全身感染するCMV-SDと全身感染しないCMV-SCの間でキメラウイルスを作成し,それらの「Harosoy」におけるの全身感染能力を調査した結果,2b遺伝子を含む領域が「Harosoy」における全身感染決定因子の一つであることを明らかにした。

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