ヤギにおける林地内低木樹葉の嗜好性

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タイトル別名
  • Palatability of Forest Shrub Foliage in Goat
  • ヤギ ニ オケル リンチ ナイ テイボクジュ ヨウ ノ シコウセイ

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抄録

我が国の中山間地域や里山では,過疎化により耕作放棄された農地や林野が問題視されている。ひとたび,管理を放棄した農地や林野を再び利用するには多くの困難が伴い課題が多い。本研究では放棄され荒れた農地や林野を再生させるためにヤギを活用し,林地内に存在する低雑木の樹葉の嗜好性および採食性を明らかにした。飽食時での採食量はクズ(Pueraria lobata)が最も良好である一方でスギ(Cryptomeria japonica),オニグルミ(Juglans mandshurica var.sachalinensis)の採食量が低かった。空腹時の採食量はクズ,ヤマグワ(Morus bombysis),ニセアカシア(Robinia pseudoacacia)が良好であったが,スギ,オニグルミも一定程度採食した。化学成分についてはクズ,ヤマグワでCPが高く,NDFが低いことから高品質アルファルファヘイキューブに匹敵することが認められ,嗜好性の高さとの関連性が示唆された。ミネラルについても供試した樹種の多くでCa含量が高く,P含量が低く,さらにテタニー比も2.2以下であり,特にヤマグワおよびクズについては飼料としての有用性が明らかになった。以上より,里山再生にヤギを活用する際には,ニセアカシア,ユキツバキ(Camellia japonica subsp. rusticana),クズ,ヤマグワは良好な嗜好性であるため管理の必要性が低く,スギを除くオニグルミ,タラノキ(Aralia elata)については積極的に除伐,伐採などの管理が必要であることが示唆された。

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