水田利用型酪農における自給飼料生産の現状と課題 : 千葉県安房地域の事例を中心に

書誌事項

タイトル別名
  • The Current Situation and Problems of Dairy Farming on Paddy Fields in a Dryland Cultivation System : : The Case Study of Awa Area, Chiba Prefecture
  • スイデン リヨウガタ ラクノウ ニ オケル ジキュウ シリョウ セイサン ノ ゲンジョウ ト カダイ : チバケン アワ チイキ ノ ジレイ オ チュウシン ニ

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抄録

2008年の輸入飼料価格高騰を背景に,これまで輸入飼料への依存度を高めてきたわが国酪農経営の農業所得額は漸減している。経営を安定させるためには,自給飼料生産を強化することが課題となっている。本論文は,千葉県安房地域の水田における飼料作物生産について,現地ヒヤリング調査をもとに,飼料自給率及び調製飼料の生産費を算出して経営経済性を検証し,併せて飼料生産の拡大を妨げている諸問題を明らかにした。分析の結果,安房地域の自給飼料生産は,経営水田が分散しているため生産費が高いこと,転作奨励金交付によって成立していることが解明された。また,粗飼料作とその利用の作業難易や効率性は,水田の立地や圃場条件により事情が異なること,飼料調製作業は,家族労働力だけで対応することが難しいなどの労働力問題が整理された。従って,水田飼料作の維持・拡大のためには,利用水田の集約や団地化,さらに飼料作との調整利用効率を高めるための組織化等も含めて,暫くは水田飼料作に対する助成金を含む政策支援が必要である。そのためには,国・地方自治体・農業団体などが歩調を合わせて,その問題解決に取り組むべきであろう。

収録刊行物

  • 農村研究

    農村研究 (114), 1-12, 2012-03

    東京 : 食料・農業・農村経済学会

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