奄美地域における耐風性施設としての木柱平張施設における果菜類の栽培評価

書誌事項

タイトル別名
  • The cultivation adaptability of vegetables in the flat woody-pole net house as an anti-wind facility in Amami islands
  • アマミ チイキ ニ オケル タイフウセイ シセツ ト シテ ノ モク チュウ ヘイチョウシセツ ニ オケル カサイルイ ノ サイバイ ヒョウカ

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説明

奄美地域において花き類の低コストな耐風性施設として普及している木柱平張施設下での環境特性および野菜の生育特性を解明するとともに,施設費増加を考慮した収益性試算を行うことによって,採算性のある有望な品目を選定した。環境特性では,気温は露地に比べてわずかに高く,積算日射量は,露地に比べて約85%と少なかった。また,施設内は防風効果が大きく,露地に比べて40%~60%まで抑えられた。野菜の生育特性および収益性については,カボチャ,サヤインゲン,ニガウリおよびオクラについて作型ごとに検討した結果,いずれの品目も露地に比べて節間長が伸長し,全体として旺盛な生育であった。また,露地に比べて収益性向上が図られたのは,抑制ニガウリ,抑制サヤインゲンおよび早熟カボチャであった。抑制サヤインゲンでは,大莢品種である'ビックリジャンボ'で,早熟カボチャでは露地では困難な半立体仕立てにすることで収益性が向上した。収益性向上の主な要因は,ニガウリおよび'ビックリジャンボ'では果実・莢のキズが少なく商品率が向上したこと,早熟カボチャの半立体仕立てでは密植による増収である。また,平張施設の早熟オクラの収益性は露地と同等以下で,本作型での施設導入による有利性は認められなかった。これらの結果から,木柱平張施設においては,抑制ニガウリ,早熟カボチャおよび抑制サヤインゲンが有望であること,風の影響を受けやすい品目では果実・莢のキズおよび奇形などの発生が少ないため商品収量が高まること,露地では困難な立体栽培でも安定した生産が可能であることが明らかになった。

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