ブタにおける唾液アミラーゼ活性のストレス指標としての有効性

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タイトル別名
  • Availability of Salivary Amylase Activity for Assessing Stress in Pigs.
  • ブタ ニ オケル ダエキ アミラーゼ カッセイ ノ ストレス シヒョウ ト シテ ノ ユウコウセイ

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抄録

本研究では、ブタにおけるストレス評価の指標として、唾液アミラーゼ活性の測定が有効であるかについて検討した。試験には、147日齢のLWD豚の雌4頭と去勢雄4頭を用いた。試験1として、全8頭を1.7m2/頭の豚房で153日齢まで飼育した(混合飼育)。試験2では、雌と去勢雄をそれぞれ同じ広さの別の豚房(1.7m2/頭)で154日齢から体重110kgの出荷時まで飼育した(性別飼育)。試験期間中は不断給餌および自由飲水とした。唾液アミラーゼ活性は、ブタの口腔に試験紙を約8秒間含ませて唾液を採取後、唾液アミラーゼモニター(ニプロ製)にて測定した。測定は、試験1では3日目および6日目、試験2では試験開始後4日間隔で4回行った。行動調査は、個体維持行動(採食、飲水、横臥、犬座、起立、歩行、走行、身繕い、排糞および排尿)を3分間隔の点観察で、社会行動(闘争、噛み付き、頭突きおよび押しのけ)を記述式で行った。調査日は、試験1では、1日目、試験2では1日目および9日目とした。行動調査の結果より、雌において、混合飼育時と比較して性別飼育で横臥時間が有意に減少し、起立時間が有意に上昇した(P<0.05)。また、闘争行動の発現回数は、雌において、混合飼育から性別飼育に変わった際に増加する傾向が見られた。一方、唾液アミラーゼ活性は、去勢雄では試験期間を通して、有意な増減は認められなかったが、雌では飼育環境を変更した直後に有意な上昇を示した(P<0.05)。これらのことから、飼育環境の変化による行動の変化と唾液アミラーゼ活性の変化に関連があることが示唆され、肥育豚では、飼育環境の変化に伴い、ストレスを感じるが、その程度は雌でより大きかったことが考えられる。以上の結果より、唾液アミラーゼ活性が、ブタにおけるストレス指標として利用できる可能性が示唆された。

収録刊行物

  • Coastal bioenvironment

    Coastal bioenvironment 19 49-53, 2012-08

    唐津 : 佐賀大学海浜台地生物環境研究センター

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