イチゴの育苗期の夜冷短日処理と追肥による連続出蕾技術の開発

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タイトル別名
  • Development of Methods that Continuously Induce Flowering in Strawberry Nursery Plants by Applying Nitrogen Fertilizer with a Short-day Night-chilling Treatment
  • イチゴ ノ イクビョウキ ノ ヤレイタンジツ ショリ ト ツイヒ ニ ヨル レン ゾクシュツツボミギジュツ ノ カイハツ

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抄録

イチゴの超促成栽培では,第1花房収穫後に第2花房の分化遅延による収穫の中休みが生じるため,年内収量の向上が課題であった。そこで,促成品種「さちのか」を用いて,第2花房の花成誘導により連続的な出蕾が可能となる育苗法と定植後の栽培法について検討した。1.短日処理を60日以上に延長することで第2花房の花成誘導が確認され,花芽分化苗が得られた。しかし,短日処理のみでは花成誘導効果が不安定であることから,第2花房の花成誘導には夜冷短日処理が必要であった。2.夜冷短日処理中の第1花房分化期以降に追肥を行うことで,第2花房の花成誘導が促進され,処理有効株率が向上した。追肥に用いる液肥の窒素濃度は50~75mgN/Lとし,毎日1回,1株当たり100mL施用することで,高い処理有効株率が得られた。また,育苗培地の容量は1株当たり360mL以上が適し,少量培地では同様の処理を行っても処理有効株率が低下した。3.夜冷短日処理苗には第2花房未分化苗も混在するが,気温が低下してくる8月第6半旬以降に定植した場合,高温長日による影響は小さく,継続して花成誘導されることで連続的な出雷が可能になると考えられた。しかし,夜冷短日処理中に3日以上高温長日条件に遭遇すると第2花房の花成誘導が強く抑制された。4. 本試験地のように夏季冷涼な地域である本県の沿岸部では,夜冷短日処理中の夜冷温度は22℃設定で良く,目標とした80%以上の割合で処理有効株を得ることが可能であった。また,夜冷温度を低くすると花芽分化は早まるが,冷房負荷が増加した。5. 定植後の栽培管理では, 3果に摘果することで平均1果重は有意に増加したが,摘果処理,電照開始時期,培養液濃度による増収効果は認められなかった。6. 夜冷短日処理(62日間程度)と追肥処理を行った苗を8月下旬に定植することで,同時期に定植する超促成(12月どり)栽培よりも収穫の前進化が可能であった。また,第1,2花房が連続的に発生するため,収穫期間の大きな中休みが無くなり,年内収量が増加した。

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