東北海区に於ける漁獲サンマの体長組成に就いて

書誌事項

タイトル別名
  • ヒガシホッカイク ニ オケル ギョカク サンマ ノ タイチョウ ソセイ ニ ツイテ

この論文をさがす

説明

東北海区のサンマ漁期(9月~12月)に南下するサンマ群の魚体組成を、魚市場に陸揚されたものの体長組成から吟味した。近年の漁場は殆ど近海に限られているので、東北海区の広い水域を南下するサンマに就いて充分な考察をする事は出来なかった。初漁の位置は次第に南へ移り、1951年からは北海道の近海迄出漁する事なく、殆ど?崎近海で漁獲が始まる様になった。而して、漁期間の漁場の発達や移動は各年各様である。此の事は各年のサンマ漁場が、その年の海況の変動によって著しい影響を蒙っている事を意味するのであらう。(1)各年の魚体組成は相当の年変動を示している。1949年は大型魚・中型魚・小型魚が存在し甚だ複雑な組成を示し、'50年は体長平均値27.3cmの正規分布、偏差も±2.38cmで最も簡単な組成であり、'51年以降は次第に小型魚が増加し、平均体長は規則正しく小さくなり、標準偏差は逆に大きくなっている。但し、1949年の中型魚の峯はその他の年の中型魚の峯よりかなり小さい。(2)各年の魚体は大抵10月中旬頃最も大きく、この時期以後体長組成の峯の位置は小さい方へ移動する。この峯の移動は1950年1回、'51年2回、'52年3回、'49年・'53年及び'54年には数回認められる。次に金華山の近海丈けを対象とし、此処で漁獲されたものの旬毎の変化を見ると、初漁時と終漁時には、年により海流の消長に伴う魚体の変動が大きい。そして初漁時と終漁時に於ける魚体組成の峯は、1950年には相違が見られないが、'51年1cm、'52年2cm、'53年4cmとなっており、'54年の初漁時には大型魚の単峯だったが、終漁時には中型魚の単峯となっている。(3)漁場は年によって南と北に長く延び、時には100浬以上も距った2つ以上の漁場が同時に操業される事がある。この様な場合サンマの魚体は南北で同じ組成を示す事は稀で、低緯度のものが高緯度のものより1cm、時には2cmも大きい。従って同じ魚群が何時までも同一漁場に滞留していて漁獲対象となるのではなく、明らかに後続の新しい魚群が入替ってその漁場へ出現する事を示している。(4)東北海区を南下する寒流の主要な2派に対応した沖合・近海両漁場の魚群についての魚体組成の比較は、沖合群の資料が少ないので充分検討出来なかった。然し、沖合群も近海群と同様南北に魚群の拡がりがあり、之を近海群と比較するに当り、沖合漁場の漁獲魚が南下群の先頭のものか、後端のものか、或は中央に位置するものかという事は漁獲記録の甚だ少ない関係で全く不明である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ