日本近海におけるサンマ稚仔の分布

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  • ニホン キンカイ ニ オケル サンマチシ ノ ブンプ

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抄録

1949年から1961年の期間、本邦近海において稚魚網で採集されたサンマ稚仔の分布について考察し、これに関連して卵及び幼魚についても述べた。1)一般に本邦太平洋近海においてサンマ稚仔は何れかの水域で殆んど周年に亘って採集されるが、平均採集数からみて主なる出現期は10月から6月までである。分布の南端である日向灘・沖縄水域では冬季、北端である道東水域では夏夫々1回少数ではあるが出現する。2)稚仔の季節的分布状態は、秋には三陸から伊豆諸島へかけて、冬季は常磐から薩南海区へ連なる広範な水域であって、春季には再び伊豆諸島から常磐水域が中心となる。3)小型仔魚群の出現状態及び平均採集尾数の季節的変化から考えて、秋の南下期には(11~1月)常磐から伊豆諸島水域、北上期には(3月~5月)やはり同水域で主要な2つの産卵が行われるものと推定される。4)各水域の出現水温には季節的変動がみられ、秋と春の採集水温は高く、冬季には最低となり、大部分の水域では17°、18℃である。5)秋季と春季の稚仔の分布は、黒潮前線周辺の潮境に密着しているが、冬季は野島沖・伊豆諸島海区の黒潮反流域に広く分布する。6)太平洋側ではサンマ卵の採集は極めて少なく、各水域に出現する孵化直後の仔魚に結びつくような大量の産卵場所は未だつきとめられていない。

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