春夏の黒潮の消長と秋のサンマ漁況との関係に就いて

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  • シュンカ ノ クロシオ ノ ショウチョウ ト アキ ノ サンマ ギョキョウ ト ノ カンケイ ニ ツイテ

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抄録

昭和26年~36年の潮岬真南の春季の黒潮の消長と東北海区の盛夏の海況との関係を明らかにし、秋のサンマ漁況予報について考察した。潮岬真南の黒潮は春季に大急潮によって南方或いは北方へ大きく変動するので、5月の海況を検討し、黒潮本幹の潮岬への接岸度と黒潮分派の三陸への接岸度との間に逆相関がある事を知った。そこで各年5月の海況を黒潮最高水温帯が潮岬に近いものから順に(A)~(E)の5型に分類して、秋のサンマ漁との関係を次の様に総括した。(A)型(昭和26年・28年・31年)最高水温帯は潮岬に接岸。三陸近海は著しく低温で、黒潮分派は三陸から離れ、北海道へ接近する。秋のサンマは不漁である。(B)型(27年・32年)最高水温帯は潮岬から40浬。三陸近海は稍々低温であるが、黒潮分派は三陸へ接近する。サンマは好漁。(C)型(30年・33年)最高水温帯は潮岬から60~70浬。三陸近海は黒潮・親潮勢力が共に強く、顕著な潮境が発達。サンマは豊漁。(D)型(29年・34年)最高水温帯は潮岬から90浬。黒潮分派は三陸へ接岸。親潮前線は襟裳岬南東沖を走る。サンマは好漁又は豊漁。(E)型(35年・36年)最高水温帯は潮岬から遠く120浬。三陸~北海道近海は黒潮水系に占められ、親潮前線は釧路南東沖を走る。サンマは不漁又は豊漁。従って5月の潮岬沖の黒潮を類別した此の5型だけでサンマ漁況予報を試みると、(A)~(C)の3型はよく合い、(D)型も大体合うが、(E)型は合わない。(E)型年の漁況の差は三陸へ接岸する親潮水塊の著しい相違による。故に(E)型の様に特に異常海況の年には三陸沖の寒・暖両水塊の配置によって詳しく検討しなければならない。

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