日本系サケの海洋における分布と回遊

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タイトル別名
  • Ocean distribution and migration of Japanese chum salmon
  • ニホンケイ サケ ノ カイヨウ ニ オケル ブンプ ト カイユウ

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抄録

日本系サケ(Oncorhynchus keta)の回遊ルートは,沖合域における調査船を用いた分布調査と遺伝分析や耳石標識による個体群識別技術により推定された。日本系サケは季節や発育ステージ毎に生息場所を変え,北太平洋とその周辺海域を広範囲に大回遊する。日本系サケ幼魚は春から初夏にかけて沿岸を離脱して,オホーツク海に移動して夏から秋まで生活する。11月になると水温の低下に伴い幼魚は西部北太平洋へ移動し,水温が4-6℃の狭い水域で最初の越冬を行う。越冬を終えた若齢魚(海洋年齢1年魚)は初夏(6-7月)に摂餌のためベーリング海へ移動する。水温が急激に低下する11月になると,若齢魚(海洋年齢1年魚)を含む未成魚は南東へ移動し,アラスカ湾で越冬する。未成魚はベーリング海とアラスカ湾の間を季節による南北移動を繰り返し,成熟した魚は7月頃より順次ベーリング海を離脱し,秋から初冬にかけて日本沿岸の母川に産卵のため回帰する。最も死亡が起きやすい降海後オホーツク海に至るまでの時期におけるサケの初期生残機構について集中的な研究を実施すると共に,日本系サケの主要な摂餌海域であるオホーツク海とベーリング海で資源状態と生息環境に関する長期的モニタリング調査を行うことが,サケ資源の持続的な維持と利用のため不可欠と思われる。

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