モンゴルにおける小麦生産農場の総合生産性分析

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  • Total factor productivity analysis of wheat production farms in Mongolia
  • モンゴル ニ オケル コムギ セイサン ノウジョウ ノ ソウゴウ セイサンセイ ブンセキ

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抄録

本研究では,大規模化が進むモンゴル国の小麦生産農場における経営の生産性について総合生産性分析を用いて実証的に分析した。調査対象は,企業が経営する40農場で,2010年に得られた経営データを分析に用いた。分析では,経営規模を作付面積によって250ha未満を第I階層,250~500ha未満を第II階層,500~1,000ha未満を第III階層,1,000ha以上を第IV階層として分析対象農場を分類し,生産性の階層間格差を検討した。小麦の単収は,第I階層と第II階層は1.4t/haであり,第III階層及び第IV階層の1.7t/ha及び1.6t/haとの間に統計的な有意差が認められた。労働生産性は,第I階層の0.13(t/時間)から第IV階層の0.26(t/時間)へと約2倍に増加していた。すべての要素投入を用いて算出した総合生産性比率の分析では,第I階層を100.0として,階層順に114.6,125.2,129.7の値が得られ,第IV階層は第I階層の約1.3倍の値を示した。この結果は,モンゴルにおける小麦作経営では,規模拡大により経済的利益が増大することを示すものである。さらに,生産要素の総合生産性向上に対する寄与率は,大規模経営の第IV階層で光熱動力費が最も大きく127.5%,次に労働費の46.6%であった。

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