食用イグサのIn vitroでのα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ阻害作用

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タイトル別名
  • In Vitro alpha-amylase and alpha-glucosidase inhibitory effects of edible soft rush (Juncus effusus L.)
  • ショクヨウ イグサ ノ In vitro デ ノ a-アミラーゼ オヨビ a-グルコシダーゼ ソガイ サヨウ

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抄録

イグサ(Juncus effusus L. var. decipiens Buchen)は古くから消炎,利尿および他の症状緩和を目的とした民間伝承薬として用いられてきたものの,その健康増進作用における科学的なメカニズムは未だ明らかにされていない。一方,日本では地域限定ながら食用作物としてイグサが無化学肥料のもと栽培されており,食用イグサを利用した特色ある加工食品が流通されている。われわれは糖質消化酵素阻害の観点よりイグサの機能性について調査を開始することとし,本研究では,食用イグサ熱水およびエタノール抽出物が,α-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼに対して阻害作用を有するか調べることとした。その結果,両酵素に対して熱水抽出物よりもエタノール抽出物のほうが強い阻害作用を示し,とくにα-グルコシダーゼに対してエタノール抽出物が食後過血糖治療薬アカルボースの0.673倍ほどの阻害作用を保持していた。一方,イグサ中に含有される既知フラボノイドであるルテオリンおよびケルセチンについても同条件下で検証を行い,いずれも濃度依存的な酵素阻害作用を示すこと,α-グルコシダーゼに対してアカルボースよりも強い阻害作用を有することを確認した。以上より,食用イグサのエタノール可溶性抽出物に比較的強いα-グルコシダーゼ阻害作用が初めて見出されたことから,同糖質消化酵素阻害を機序とする血糖値上昇抑制作用などへの応用利用に期待がもたれる。

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