敷設資材と下草を活用した土壌除染法

書誌事項

タイトル別名
  • Decontamination method of sup(137)Cs in soil by netting and weeding
  • フセツ シザイ ト シタグサ オ カツヨウ シタ ドジョウ ジョセンホウ

この論文をさがす

抄録

重機や剥土機による表土除去を補完する技術として、樹園地の表層土壌に沈積したRCsを簡易な方法で除去する技術開発を目的とした。園内に植生する下草に着目し、下草の茎葉部と根及びその根圏土壌を併せて剥ぎ取る方法が有効と考え、4種の敷設資材と牧草播種や雑草草生を組み合わせた表土剥離の効果を137Cs除去率により評価した。137Cs除去率(RR)は以下の式により算出した。RR=100a/(a+A) a: 剥離層の137Cs量(Bq/m2)、A: 剥離下3cmの137Cs量(Bq/m2) (1) 下草による137Cs持ち出し量は茎葉部、根及び根圏土壌を併せた剥ぎ取りが地上部刈り取りの990~4,550倍と、土壌表層の137Cs除去には下草剥ぎ取りが有効であり、達観で下草の根群が広いほど137Cs除去量は多くなった。雑草草生より牧草播種の方が137Cs除去量は多く、特にKBとWCの混合播種は連続したRM層を形成し、根群層の土壌剥離の均一性が確保できるため137Cs除去効果は高くなった。(2) 敷設資材とKB+WC混合播種を利用した表土剥ぎ取りによる137Csの除去率は、剥離層の重量が多いほど高くなり、調査した資材の中では回復ネットにおける効果が最も高かった。回復ネット単用では雑草草生の根及び根圏土壌の付着量が少なく断片的な剥離となり、KB+WC混合播種と併せて行うことにより連続的な剥離層を確保することができた。(3) 幅1.9mの回復ネットと根群の発育が旺盛なKB+WC混合播種の組み合わせによる土壌表層の剥離は、ネット幅のまま巻き取る方法で137Cs除去率が34.6~50.8%と表土のCs濃度の低減に有効と考えられた。しかし、剥離の所要時間は176~212秒/mで重量が増すにつれて作業性が低下し、また剥離層の137Cs量は対照の42.4~66.1%と低かった。そのため、ネット幅を狭くするなど巻き取り時の重量負担を軽減し、根を途中で切断せずに根圏土壌を剥離層にできるだけ多く取り込むことが実用性を高めるのに重要と考えられた。また、回復ネットと牧草播種による表土剥ぎ取りの時期は、牧草の根張りを十分確保した後の根の生長活動が停滞する12~4月が適期と考えられるが、今後の検討課題としたい。(4) 2011~2014年に試験を行った24事例から、下草による表土の剥離量と土壌中137Cs除去効果の関係を検証した結果、137Cs除去率は剥離厚さ指数と比例関係が認められた。そのため、剥離厚さ指数は下草剥ぎ取りによる除染効果を表す目安となるが、その比例定数は137Cs垂直分布の差異や土壌水分及び土壌孔隙率により変動することに留意する必要がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ