Russian wood seen by Roka Tokutomi

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  • 徳富蘆花が見たロシアの林
  • トクトミ アシ カ ガ ミタ ロシア ノ ハヤシ

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Abstract

徳富蘆花が1906年にトルストイの屋敷(ヤスナヤ・ポリヤーナ)を訪問した時,蘆花は二カ所で「雑木林」と遭遇した。「雑木林」とは,1900年に国木田独歩の影響を受けながら蘆花自身が武蔵野で発見した,独特の美しさを持つ落葉樹林である。蘆花とトルストイは,それぞれ日本とロシアにおける著名な文筆家である。本論では蘆花のトルストイ滞在日記を分析した。その日記は日本語で書かれたあと,トルストイに贈呈されロシア語に翻訳された。その訳では,「雑木林」は「森」もしくは「林」として解釈され露訳された。また,「雑木林」は「劣等木材からなる林」として英訳された事例があった。本論では,「雑木林」と,「森」もしくは「林」との違いを示した。さらに蘆花は,ヤスナヤ・ポリヤーナにおいて若い落葉樹が成長しつつある林を発見し,その場所を「疎林」と呼んでいる。「疎林」は,トルストイが非常に気に入っていた林であった。「疎林」の構成樹木は若い落葉樹であることから,幹が細く,樹高が低い状態だったと想像されるため,そこは「雑木の庭」の視覚的様相を持った風景であったと考えられる。

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