霞ヶ浦に入射した光の減衰に対する懸濁物質の影響 : 光減衰機構の長期的変遷

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of suspended solid on light attenuation in the shallow and turbid Lake Kasumigaura, Japan : Long term variation of the light attenuation mechanism
  • カスミガウラ ニ ニュウシャ シタ ヒカリ ノ ゲンスイ ニ タイスル ケンダク ブッシツ ノ エイキョウ : ヒカリ ゲンスイ キコウ ノ チョウキテキ ヘンセン

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抄録

霞ヶ浦は,1993年から透明度とChl-α濃度の変動が乖離し,1998年8月から2006年5月には,湖水が白濁する白濁現象が発生した。そのため,霞ヶ浦では光減衰機構が大きく遷移することが示唆されるが,定量的な評価は行われていない。本研究は,霞ヶ浦に入射した光がどの様な成分で減衰していたかを定量的に評価することを目的として,霞ヶ浦湖心における1978年から2010年の入射光減衰成分を,POM(有機態懸濁物),トリプトン(無機態懸濁物),有色溶存物質+水自身に分け,これらの成分からK ds(深度0mから2mにおける表層の鉛直消散係数)がどのように決定されるかを解析した。POMとトリプトン濃度を目的変数,K dsを説明変数とした重回帰分析を行った。その結果,これらの減衰成分でK dsを推定する以下の式が得られた。K ds=0.150×POM(mgL-1)+0.070×Tripton(mgL-1)+0.321 POMとトリプトン濃度の変動から,霞ヶ浦の光環境は,ステージI(1978年から1992年),II(1993年から1998年),III(1999年から2006年),IV(2007年から2010年)の4つのステージに区分できた。トリプトンの光減衰寄与率は,トリプトン濃度の増加にしたがって,ステージIからステージIIIにかけて増加した。特に,ステージIIIでは,POMよりトリプトンが霞ヶ浦の光環境に影響を与えており,このとき,植物プランクトン群集が光制限による影響を強く受けていたことが考えられた。

収録刊行物

  • 陸水學雜誌

    陸水學雜誌 77 (1), 13-23, 2016-01

    松本 : 日本陸水学会

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