DNAマーカーを利用した連続戻し交雑による難裂莢性および早晩性改変大豆系統の育成

書誌事項

タイトル別名
  • Production of new soybean lines by back-crossing and marker assisted selection for shattering resistance and maturity loci
  • DNAマーカーを利用した連続戻し交雑による難裂萊性および早晩性改変大豆系統の育成
  • DNA マーカー オ リヨウ シタ レンゾク モドシ コウザツ ニ ヨル ナンレツライセイ オヨビ ソウバンセイ カイヘン ダイズ ケイトウ ノ イクセイ

この論文をさがす

抄録

ダイズのゲノム情報の充実に伴い、耐病虫性、草姿、子実成分、早晩性等に関する多くの形質について、DNAマーカーを利用した目的形質の選抜(Marker assisted selection; MAS)が可能になってきた。そのため、主力品種が持つ栽培・品質特性の欠点を、MASを利用した連続戻し交雑により改良することができるようになった。このうち、難裂莢性の強化は実質的な収量性の向上が期待できること、早晩性の改変は栽培地域の拡大が見込める他、作期分散と、作業競合の回避が期待されることから、これら2形質の導入を先行して育種研究を進めてきた。「サチユタカA1号」および「関東120号」など難裂莢性導入系統は、裂莢性以外は、原品種とほぼ同様の生育特性を示し、原品種の栽培法を適用できる。特に「サチユタカ」など裂莢と青立ちの発生しやすい品種の普及地域や、作業の競合により刈り遅れが生じる際には、難裂莢性導入系統の優位性が大きくなることが期待される。早晩性改変では、「エンレイ」の晩生化系統である「作系74号」および「作系78号」を開発した。北陸以南の地域で「エンレイ」を栽培する場合に、生育量が不足し低収となる場合でも、晩生化系統は「エンレイ」と同等以上の子実収量を得られる可能性が認められた。また、子実品質についても、「エンレイ」の栽培適地で生産したものと比較しても劣らないと考えられた。これまで、単交配からの品種育成と比較して、MASと戻し交雑による育成により大幅に育成期間を短縮することができている。また、普及対象地域における栽培試験についても、生育特性や、病虫害抵抗性など栽培上の注意点が理解されていることから、取り組みやすいなどメリットが大きい。今後、従来の育種法とMASを利用した戻し交雑で欠点を改良する新しい育種法を組合せ、品種開発の一層の効率化が期待される。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ