北海道の天然林における林冠層およびササが林床植物の多様性に与える影響 : 構造方程式モデリングによる分析

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タイトル別名
  • Effects of overstory and dwarf bamboo on the diversity of understory plants in natural forests in Hokkaido, northern Japan : A structural equation modeling analysis
  • ホッカイドウ ノ テンネンリン ニ オケル リンカンソウ オヨビ ササ ガ リンショウ ショクブツ ノ タヨウセイ ニ アタエル エイキョウ : コウゾウ ホウテイシキ モデリング ニ ヨル ブンセキ

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抄録

林冠層の種組成の違いが林床植物の多様性に与える影響を評価するために,北海道の天然林167林分における植生データを用い,林床植物の多様性に及ぼす林冠層の種組成およびササの影響について分析した。林冠層の直接的な効果と,林冠層がササを介して林床植物の多様性に与える間接的な効果を,それぞれを直接効果と間接効果とし,これらを分離するために構造方程式モデリングを用いた。林冠層の直接効果として広葉樹の被度は,林床における草本の種の豊富さ(SR)とは正の相関が,木本のSRとは負の相関があった。また,林冠層の広葉樹の被度,開葉時期の遅い広葉樹の被度,混交度と維管束植物のSRはいずれも正の相関を示した(直接効果)。間接効果については,林冠層の種組成によって,ササの被度が減少し林床植物のSRが向上する場合があったが,この傾向は林冠層の種組成に依存し異なっていた。さらに,直接効果と間接効果はササの種類や林床植物の生活形によって異なる関係を示した。これらの結果は,ササの影響を考慮しても広葉樹林や針広混交林で針葉樹林より林床植物の多様性が高いという仮説を支持した。一方で,限られたデータや単純な分析では,林冠層の林床植物の多様性への影響を正当に評価できない可能性があることも示唆していた。

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