イチゴにおける2種カブリダニ放飼によるハダニ類の防除

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タイトル別名
  • Control of spider mites on strawberry by releasing predator mites
  • イチゴ ニ オケル 2シュ カブリダニ ハナシガイ ニ ヨル ハダニルイ ノ ボウジョ

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抄録

本県の促成栽培イチゴにおいてカブリダニ類利用によるハダニ類の防除を推進するため,現地生産者ほ場および農業試験場内ほ場においてチリカブリダニ剤とミヤコカブリダニ剤を両剤混合利用した防除試験を実施した。1. 高設栽培と土耕栽培のいずれでも,品種は「まりひめ」,「さちのか」,「紀の香」でも,加温栽培でも無加温栽培の低温条件でも,チリカブリダニとミヤコカブリダニの2種カブリダニを混合放飼すると,選択性殺ダニ剤との併用でハダニ類の発生を低密度に抑えた。2. 天敵比率(カブリダニ類の密度/ハダニ類の密度)はカブリダニ類放飼ほ場におけるハダニ類密度抑制効果の安定性を確認するための目安として役立つと思われた。ただし,天敵比率のみで補完防除の必要性を判断することは危険である。3. ハダニ類が低密度でカブリダニ類が極少発生の状態が長く続くと,春先にハダニ類の急増を招くこともあるので注意が必要である。4. イチゴ生産者のうち,効果が高いと感じている殺ダニ剤の数が2剤と回答した生産者は全体の20%,1剤と回答した生産者は全体の45%であった。殺ダニ剤だけでハダニ類の発生を抑えることは極めて難しい状況である。5. 高齢の生産者はハダニ類の発生に気づくことが困難なため,ハダニ類を防除するためには慣行薬剤防除より,スケジュール的に使用して安定した効果が得られるカブリダニ類の体系利用が有利と考えられた。

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