歩行中の手先振動抑制に対する視覚情報の役割

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  • ホコウ チュウ ノ テサキ シンドウ ヨクセイ ニ タイスル シカク ジョウホウ ノ ヤクワリ
  • A Role of Visual Information for Joint Coordination to Dampen Hand Vibration during Walking

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抄録

人間がコップの水をこぼさずに運ぶ動作に対して,視覚情報はどのような働きをするのかを調べた.手先のジャークを小さくし,コップの角度を一定に保つことがコップの水をこぼさないための条件とし,歩行中に視覚情報を遮断した場合,それらの変数ないしそれらの変数を制御する関節間の協調がどのように変化するのかを調べた.水が入ったコップを持って歩行している際に,手元の視覚情報を途中で長時間遮断する場合と,遮断しない場合を比較する計測実験を行った.また,関節間の協調を定量的に評価するためにUCM解析を用いた.UCM解析によって手先のジャークとコップの角度に関わる分散を,影響がない成分(UCM成分)と直接影響する成分(ORT成分)に分割し,関節間協調の度合を全分散に対するUCM成分の割合と定義した.その結果,視覚を遮断することにより,手先ジャークの値に関しては影響を受けず,コップの角度の値は変化した.また,手先ジャークに関する協調度は変化せず,コップの角度に関する協調度は低下した.これらの結果から,手先振動を抑制する際に視覚情報は,コップの角度のキャリブレーションを行うのに使用され,関節間協調の維持には性能変数とその目標値の知覚が重要であることが示唆された.また,手先のジャークは視覚情報を用いずに制御することが可能であることも示唆された.

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