本邦で分離されたAeromonas salmonicida―ヴィルレント・ファージの特性

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タイトル別名
  • Properties of Some Aeromonas salmonicida - Virulent Phages Isolated in Japan
  • ホンポウ デ ブンリサレタ Aeromonas salmonicida ブィル

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説明

サケ科の魚類のせっそう病の原因菌であるAeromonas salmonicidaに感染性をもつヴィルレント・ファージが本邦各地の養魚池,河川,湖沼の試水から分離され,その代表ファージ6株について特性を明らかにした。ファージ粒子構造,溶菌斑形態,宿主域,安定性,一段増殖曲線,血清学的性状などの知見により供試ファージを5群に区別した。各群ファージの特性は概略次の通りであった。I群のファージ: やや偏長な六角形の大きい頭部と収縮性尾鞘をつけた尾部からなる粒子構造を構成し;小さくて透明な溶菌斑を形成し;加熱処理に対しやや不安定であり,一段増殖の潜伏期が長く,平均放出量が小さい;そして,血清型Iである。II群のファージ: 外観正六角形の頭部と収縮性尾鞘をつけた尾部からなる;径3~4mmの透明な溶菌斑;安定であり;平均放出量大きく;そして血清型IIである。III群のファージ: 外観正六角形の頭部と小さな痕跡の尾部からなる;径6~8mmの大きく透明な溶菌斑;不安定であり;平均放出量はそれほど大きくないが潜伏期は短く;そして血清型IIIである。この群は他に比して多くの性状で特徴的であった。IV群のファージ: 外観正六角形のやや大きい頭部と収縮性尾鞘をつけた尾部からなる;小さな混濁した溶菌斑;やや不安定であり;潜伏期長く,平均放出量小さい;そして血清型IVである。V群のファージ: 外観正六角形の頭部と収縮性尾鞘をつけた尾部からなる;小さく混濁した溶菌斑;安定であり;潜伏期長く,平均放出量小さい;そして血清型Vである。IV群とV群との性状の違いは安定性,血清型にみられるがその差異は小さい。これら各群の代表ファージはA. salmonicidaファージ型別のためのファージ・セットの一部として有効に利用しうるものであると考える。

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