映像化ストラテジーにより類義語の正用文から想起される「映像」の特徴:日本語教育経験者の例文分析過程からわかること

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抄録

本研究は、正用文から直感的に想起した視覚的イメージを言語化する「映像化ストラテジー」に着目し、類義語の例文分析において言語化される映像の特徴を探った。日本語教育経験者3名の例文分析過程を発話思考法とプロトコル分析で観察した結果、調査協力者の映像化ストラテジー使用には例文が示すできごとや行為、発話を取り巻く場面的文脈が描写される傾向が窺える。さらに、背景的事象や心理的側面などの抽象的事象への言及も見られた。映像化ストラテジーによる例文分析では、例文の内容や言語要素を基盤として例文に示されていない関連事象が派生的かつ拡大的に想起され、シーンやストーリーとして映像が描写される。こうした例文分析は、表層的で情報の乏しい俯瞰的分析や、例文内容からの大きな乖離が起こる周辺的分析の問題を回避しうる。また、言語化された映像は類義語分析に資するような情報を多く含む一方、類義語の言語特徴に関しては暗示的な例文分析といえる。

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国際交流センター電子紀要: 10(2015)

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