フランチャイズ・システムにおける店長の動機づけの役割

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タイトル別名
  • フランチャイズ・システム ニ オケル テンチョウ ノ ドウキズケ ノ ヤクワリ
  • Furanchaizu shisutemu ni okeru tencho no dokizuke no yakuwari
  • The role of store managers' motivation in franchise systems

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抄録

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フランチャイズ・システムの存在理由については, エージェンシー理論による説明が支配的であるが, その前提は専ら外発的動機づけによるものである。エージェンシー理論を検証する実証研究の結果も, 必ずしも十分な頑健性を有しているとは言えない。また, 動機づけが影響を与えるイノベーションの発生プロセスも十分に解明されているとは言い難い。こうした点を踏まえ, 本稿では, フランチャイズ加盟店店長の動機づけを内発的動機づけも含めて直接計測することによって, エージェンシー理論に基づくフランチャイズ・システムの存在理由の妥当性を実証的に再検討すると同時に, イノベーションの発生プロセスを分析した。  それによると, フランチャイズ加盟店のオーナー店長となることは, エージェンシー理論が示すように外発的動機づけを強めることが明らかとなった。しかし, 内発的動機づけについては, オーナー店長か雇用店長かという立場の違いによる直接的な影響は観測されなかったものの, オーナー店長はより強く外発的に動機づけられていることによって, 間接的にオーナー店長の内発的動機づけをより大きく低下させることにつながっているという結果が得られた。また, 業績に対して内発的動機づけにはプラス効果が見られたが, 外発的動機づけにはプラス効果は観測されなかった。この結果は, 店長の動機づけを内発的動機づけまで含めて直接計測した場合には, 外発的動機づけに基礎を置くエージェンシー理論が必ずしも妥当しないことを意味している。フランチャイズ・システムの存在理由に関する理論を構築するに当たっては, フランチャイジーの内発的動機づけを明示的に取り込んだ理論的な発展が求められていることを示している。また, イノベーションの発生プロセスについては, 内発的動機づけおよびそれに影響を与える自律性と有能性が, イノベーションにプラスの影響を与えていることが確認された。 To examine the prevailing agency theory's assumption that franchising is driven by extrinsic motivation, we directly measured extrinsic and intrinsic motivation in store managers and found the following: (1) franchising increases the extrinsic motivation of owner managers, as agency theory claims; (2) as a result, however, intrinsic motivation deteriorates drastically; (3) intrinsic motivation is determined by autonomy, competence and relatedness; (4) intrinsic motivation, autonomy and competence positively affect innovation; (5) however, innovation does not directly affect performance. Agency theory thus needs to be revised to recognize the critical role of intrinsic motivation in franchise systems.

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