生活時間を考慮した貧困分析

書誌事項

タイトル別名
  • セイカツ ジカン オ コウリョ シタ ヒンコン ブンセキ
  • Seikatsu jikan o koryo shita hinkon bunseki
  • Time poverty and adjusted income poverty rates by housework time in Japan

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説明

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人間が生活していくうえで, 時間はお金と同様に有限な資源であり, 一定の生活水準を保つために最低限必要な量が存在するといえる。本稿では, 通常の所得の貧困の計測に加え, 家庭生活において必要な時間(家事・育児時間など)が確保されているかどうかに着目した時間の貧困を計測した。貧困を2次元で捉えることで, ①どのような世帯で所得貧困・時間貧困が発生しやすいのか, ②所得貧困と時間貧困は関連しているのか, ③家事サービスの利用など(家事の外部化)により時間の貧困を所得で補うことで結果として所得貧困に陥る世帯はどの程度あるのか, について明らかにした。 分析の結果, 就業と子育てが時間貧困を引き起こす重要な要因であり, ひとり親世帯および未就学児を抱える共働き世帯において時間貧困に陥る確率が高くなることがわかった。特に, ひとり親世帯では時間貧困のみならず同時に所得貧困にも陥っている世帯が多く, 総じて子育て世帯においては時間貧困と所得貧困は必ずしもトレードオフの関係にはなっていないことも明らかになった。また, 家事の外部化にかかる費用を考慮して所得貧困を計測した際に, 所得貧困率が2.4%ポイント上昇することもわかった。これらの結果から, 未就学児を抱える共働き世帯や, 特にひとり親世帯におけるワークライフバランス施策のさらなる充実の必要性が浮かび上がった。

「『日本家計パネル調査』を使った雇用政策評価分析」特集号#論文 挿表

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 57 (4), 97-121, 2014-10

    慶應義塾大学出版会

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