「経営哲学」研究についての方法論的考察 : 批判的合理主義の観点から

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  • "Keiei tetsugaku" kenkyu ni tsuite no hohoronteki kosatsu : hihanteki gori shugi no kanten kara
  • A methodological discussion on management philosophy : from the view of the critical rationalism

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本稿は, Popperによる批判的合理主義に基づき, 「経営哲学」についての批判的議論をいかに深めるかを明らかにすることを目的とする。「経営哲学」は, 経験科学的要因と形而上学的要因を含むものである。そのため, 「経営哲学」研究を行うに当たっては, 経験科学的側面だけでなく形而上学的側面についても議論を行うことが不可欠である。 企業に戦略的インプリケーションを与えることを試みる経営学の諸研究において, いわゆる「経営哲学」として, 理念, ビジョン, 企業家的精神といった概念が広く取り扱われている。しかし, それらの「経営哲学」の多くは主観的な信条として示され, 「『経営哲学』をもつ」ことの重要性が主張されるのみで「経営哲学」自体の内容についての批判的議論がなされておらず, 理論進化による知識の成長が阻害されている。 このような問題点は, 「経営哲学」における経験科学的要因と形而上学的要因が混同され, 両者に関する理論化が明確になされていないという状況に起因していると考えられる。したがって, 「経営哲学」に関して知識の成長を促すためには, 「経営哲学」の概念を世界2ではなく世界3の住人である経験科学的理論および形而上学的理論として示したうえで, 批判的に議論することが求められる。 その際には, 経験科学的理論と形而上学的理論のそれぞれを, 適切な尺度によって評価することが重要となる。経験科学的理論については, 世界1の経験的事実と照らし合わせてその真偽について論じることが可能である。それに対し, 形而上学的理論については, 単純に経験的事実によるテストによって反証を行うことが不可能であり, 世界3の理論に照らしてその評価を行うことが必要である。

渡部直樹教授退任記念号#論文

Journal

  • 三田商学研究

    三田商学研究 58 (2), 289-299, 2015-06

    慶應義塾大学出版会

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