幼児による人形・道具を用いた出来事の報告

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タイトル別名
  • Using normal dolls in children's event reporting : Reporting other people's actions
  • ヨウジ ニ ヨル ニンギョウ ドウグ オ モチイタ デキゴト ノ ホウコク

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抄録

子どもへの性的虐待, 性犯罪における被害の聴取において, アナトミカル・ドール(anatomicaldoll; anatomically detailed dolls)といわれる人形を用いる場合がある。アナトミカル・ドールは, 解剖学的に正しく人間の体を再現したものであり, 性器などの身体部位が備わっている。子どもへの聞き取りにおいてアナトミカル・ドールを用いることについては様々な議論がなされている。本研究の目的は, 動作, 空間的位置情報, 身体部位への接触, 物の移動などの言語化が困難である情報を聞き取る際に, 子どもを誘導する可能性のある性的な部位を持たない一般的な人形を用いることの効果を検討することである。幼稚園児26名に対していくつかの物語を見せ, 物語の内容について, 人形を用いて報告させる場合(人形条件)と言語のみで報告した場合(言語条件)を比較検討した。その結果, 条件間で正確な情報, 空間的位置情報, 順序情報などの報告量において有意な差がみられた。結果より, 言語条件に比べ, 人形条件の方が報告量が多いことが示された。考察では, 出来事の報告において人形を用いることの有効性と危険性の両方について議論を行う。

収録刊行物

  • 発達研究

    発達研究 24 25-36, 2010

    発達科学研究教育センター

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