中国におけるメディア融合戦略に関する考察

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  • 中国媒体融合战略之考察
  • チュウゴク ニ オケル メディア ユウゴウ センリャク ニ カンスル コウサツ

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抄録

インターネットの発展は中国の情報環境を大きく塗り替えた。携帯電話を利用する人口が8億を超え、9割以上のネット人口がモバイル端末を利用してインターネットにアクセスするなど人々の情報行動は大きく変わってきた。人々の生活へのインターネットの深い浸透の現状は、共産党の管理体制下に置かれている新聞、テレビ、ラジオ、雑誌等の伝統メディアを周縁化しつつ、インターネットメディアを中心的な存在に押し上げた。微博(ミニブログ、中国版ツイッター)と微信(ウィーチャット、中国版LINE)を代表とする民間会社経営のインターネットサービスの利用者が急速に増大し、誰でも、どこでも情報発信が可能となった。その結果、地方都市で起きた出来事でも、全国ないし国際社会からの注目を集める「ネット世論事件」に発展するケースがしばしば見られる。時に国内外の突発的な事件や重大な案件をめぐって、巨大な力を持つネット世論が中国社会を揺さぶり、政府にも圧力を加える。 中国共産党と政府は、万民が参加する中国のネット言論空間と多様化された情報伝達チャンネルに強い危機感を持ち、2014年から、伝統メディアとインターネットを融合し、「新型主流メディア」を創出するメディア融合戦略を打ち出した。インターネット、移動通信、デジタル技術の迅速な発展によって促進されるメディア融合はグローバルな動きである。ただ中国の場合は、国家主導のメディア融合が放送と通信の融合に限らず、新聞、雑誌などのあらゆる伝統メディアを再編させ、インターネットメディアと融合させた。すなわち、新たなメディアプラットフォームを形成させ、政府が目指す国内外で影響力と競争力を持つ「新型主流メディア集団(グループ)」や現代的なコミュニケーションシステムを構築しようとする。本稿では、中国のメディア融合国家戦略は、どういう背景から打ち出し、何を狙っているのか、メディア機構はメディア融合にどのように取り組み、その実態はどうなっているのかを考察し、それらが提示する課題を検討したい。

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