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- 宮武, 利江
- 文教大学文学部
書誌事項
- タイトル別名
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- The Fundamental Meaning of AJIKINASI
- アヂキナシ ノ キホンテキ ゴギ
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説明
本稿は、主として源氏物語の用例により、中古の「あぢきなし」という語の「核」となる語義を明らかにしようとしたものである。「あぢきなし」は「事が(自分の)思うようでない(そしてそれをどうすることもできない)」という認識を基本的な語義とする。そこには、「ままならぬものだ」と悟るニュアンス(諦観)や、「どうしようもない」と嘆くニュアンス(慨嘆)、時に後悔の気持ちを読みとれることがあり、他者が原因であるときは不満・不快、自分が意図していなかった・期待外れだ、という不本意な気持ちをあらわすこともある。また、「相手が思っていることが事実・現実と違っている」として、他者の行為を「見当違い・心得違いである」と評する(批判・非難)、あるいは他者の行為を妥当でないものとしてたしなめる(指導・諫言)場合がある。さらに、副詞的に下接する用言にかかり、「どうしようもなく」という意味をあらわすこともある。以上の点で、同じく「つまらない」と訳されることのある「あいなし」(正当な理由がない)、「すさまじ」(客観的な基準・前提に照らして合致しない)とは「不快」の根拠が異なっている。
収録刊行物
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- 文学部紀要
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文学部紀要 20 (1), 100-77, 2006-10-01
文教大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050282814005889664
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- NII論文ID
- 120006417218
- 110004819413
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- NII書誌ID
- AN1006691X
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- ISSN
- 09145729
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- NDL書誌ID
- 8557292
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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