肺血栓塞栓症を併発した多発性疣贅性心内膜炎のホルスタイン種乳牛の1症例

この論文をさがす

抄録

10歳3カ月齢、分娩後6カ月のホルスタイン種雌乳牛が食欲廃絶を主訴に受診した。第4病日に鼻出血、呼吸困難、泡沫性鼻漏、頚静脈怒張拍動を認めたため、後大静脈血栓症を疑診した。血液凝固線溶系検査を実施したところ、プロトロンピン時間と活性化部分トロンボプラスチン時間は正常であったが、血紫D・dimerの増加が認められた。聴診により左心基底部を最強点とする収縮期雑音および左右前胸部における粗励な肺音を聴取した。心臓超音波検査により肺動脈弁に8×4.5cm大の流賞物を認め流賛性心内膜炎と診断した。病理解剖では肺動脈弁の他に、大動脈弁と僧帽弁にも小型流賞物が認められ、また右肺の肺動脈分岐部付近に直径3×7cm大の血栓を認めた。D-dimerは牛においても血栓形成マーカーとなり得ると考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ