ラットの甲状腺機能低下症で認められる副腎および性腺機能障害 : 薬物誘発および先天的甲状腺機能低下モデルを用いた研究

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タイトル別名
  • The study of adrenal and gonadal dysfunctions in hypothyroid male rats: the goitrogen treated model and the hereditary model
  • ラット ノ コウジョウセン キノウ テイカショウ デ ミトメラレル フクジン オヨビ セイセン キノウ ショウガイ : ヤクブツ ユウハツ オヨビ センテンテキ コウジョウセン キノウ テイカ モデル オ モチイタ ケンキュウ

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抄録

甲状腺ホルモンは,環境適応,個体の成長・分化および基礎代謝の維持に重要な役割を演じるばかりでなく,他の内分泌器官の機能維持にも影響を及ぼしている。また,甲状腺機能は季節繁殖動物の繁殖期・非繁殖期の調節に関与していると考えられており,季節繁殖動物であるムクドリ,ヒツジおよびシカの甲状腺を摘出すると,非繁殖期には退行もしくは活動を停止するはずの性腺が,繁殖期と同じ状態で活動を維持する事実が報告されている。本稿では,甲状腺機能阻害薬であるチオウラシルを用いて作出した甲状腺機能低下ラットおよび自然発症性の甲状腺機能低下(rdw)ラットの内分泌環境について,特に副腎機能および性腺機能について検討した結果を紹介する。概説すると,甲状腺機能が低下した雄ラットでは副腎皮質機能が低下し,コルチコステロンのネガティブフィードバックが弱まることにより,視床下部では,副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)およびアルギニンバソプレッシン(AVP)の分泌が上昇する。この過剰に分泌された CRH が,黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)分泌抑制を介して,もしくは直接黄体形成ホルモン(LH)分泌を抑制することにより,結果として性腺の機能を抑制することが,一連の研究から示唆された。甲状腺機能低下症では精巣機能は正常を維持しつつ中枢から抑制されることが示された。また,甲状腺障害を考える際は機能的関連性を有する副腎および性腺機能についても同時に考慮すべきことを研究結果は示している。

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