微分空間 I-微分空間の基本的な性質I-

書誌事項

タイトル別名
  • Diffeological spaces I- Fundamental properties of diffeological spaces I -

抄録

可微分多様体の概念を一般化した diffeological space は Souriau[2] によって定義され,多くの研究者によって発展してきた.しかし,日本語での diffeological space の詳細な解説書は存在していない.本稿では,Zemmour の著書 "Diffeology[1]" を参考にして,diffeological space の基本的な性質に関して下記の 4 項目の解説を試みる.可微分構造をもつ空間は diffeological space 以外にも多く存在するため,diffeological space を和訳することは難しいが,ここでは diffeological space を微分空間と記述することにする.また,位相空間論の基本的な知識があると,本稿を読み進める助けになると考える. ■1  微分空間の公理 X を集合とする.ユークリッド空間の開集合から集合 X への写像(プロット)からなる集合 D に,ある種の情報(微分構造)を与えることで微分空間 (X,D) を定義する.位相空間論においては,開集合を利用することで,空間の特徴づけをすることが多いが,微分空間はプロットを用いて,様々な概念を定義する. ■2  微分構造の比較 集合の位相を比較するとき,離散位相,密着位相の概念が紹介される.同様に微分空間においても離散微分構造,密着微分構造を紹介し,微分構造の強弱を調べる. ■3  微分構造の引き戻し 集合 X と微分空間 Y の間に写像 f : X → Y が与えられたとき,Y の微分構造と写像 f を用いて X に微分構造を導入する方法を紹介する. ■4  部分空間 微分空間 X の部分集合 A に部分微分構造を導入する.また,部分空間に関する性質について触れる.

収録刊行物

  • 人間教育

    人間教育 1 (8), 261-266, 2018-10

    奈良学園大学人間教育学部

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