混合寡占市場における民営化前後の社会厚生比較 : シュタッケルベルク均衡への拡張

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タイトル別名
  • コンゴウ カセン シジョウ ニ オケル ミンエイカ ゼンゴ ノ シャカイ コウセイ ヒカク : シュタッケルベルク キンコウ エ ノ カクチョウ
  • Welfare Comparison before and after Privatization in Mixed Oligopoly : An Extension of Stackelberg Equilibrium

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抄録

本論文は,公企業と私企業が共に競争に従事する混合寡占市場の下で,公企業が民営化する前と後での社会厚生の大きさについて比較を行う.混合寡占市場の下で公企業の民営化問題を扱う際,既存研究の多くが同時手番クールノー競争を分析している.これに対し本論文では,公企業と私企業の逐次手番の状況を扱い,シュタッケルベルク競争の下で民営化前後の社会厚生について,比較することを試みる.混合寡占市場で民営化の社会厚生を分析した先駆的研究として,De Fraja and Delbono (1989) が有名であるが,本論文では彼らの議論を拡張し,シュタッケルベルク均衡における民営化前後の厚生比較に焦点を当てる.結論として,主に以下の点が示される.第一に,クールノー競争下においても,私企業数が十分少なければ,民営化は必ず社会厚生を悪化させる.第二に,公企業がシュタッケルベルク・リーダーである時,私企業数に依存せず,民営化は必ず社会厚生を悪化させる.第三に,公企業がシュタッケルベルク・フォロワーである時でさえ,私企業数が相対的に少なければ,民営化は社会厚生を悪化させる.既存研究の結果とは対照的に,民営化が厚生改善に寄与するケースが限定されることが上記の結論から示唆される.

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