ドイツの地方都市における周産期医療の現状

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タイトル別名
  • Current Condition of Perinatal Care in a Provincial City,Germany
  • ドイツ ノ チホウ トシ ニ オケル シュウサンキ イリョウ ノ ゲンジョウ

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抄録

ドイツの保健医療福祉に関する知見を得る目的で,2018年9月にデュッセルドルフ市を訪れ,市内で産婦人科診療所を開業している産婦人科医師からドイツの周産期医療状況について説明を受けた。ドイツでは妊娠中の妊婦健康診査は産科診療所で行われ,分娩は事前に産婦が予約していた病院で行われるシステムとなっていた。すなわち,妊娠中の経過観察と出産・分娩施設は異なる医療施設で行われていた。これは日本のセミオープンシステムに似ていると考えられた。このシステムの円滑な運用を可能にしていたのは,医師が妊娠経過を記載するMutterpass(母親手帳)であり,日本のカルテに相当するものであった。ドイツでは出産後3日目に退院となるため,退院後は助産師が家庭訪問を行って,褥婦に乳房ケアや育児指導などの助産ケアを提供していた。助産所を開業して家庭訪問を専門としている助産師もいた。褥婦の産後1か月健診は出産した病院ではなく,妊娠経過を診ていた元の産科診療所で行われる。妊娠・出産は,妊娠および出産に留まらず,その後の更年期に至るまで,産科医師が一人の女性のプライマリードクターとなって,生涯における健康支援を行う入口となる機会となっていた。

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