Influences of Estrogen-dependent Diseases, Premature Oophorectomy and Anti-cancer Chemotherapy on Skin Age in Japanese Women

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抄録

目的:皮膚にはエストロゲン(E)レセプターが存在し、E が複数の細胞に作用しヒアルロン酸などの生成を促進し、潤いや張りを与える。肌の老化(菲薄化、乾燥、皴の増加、弾力性の低下)には加齢、放射線療法、抗癌剤投与などが関与するが、閉経や外科的去勢でも起こる。しかし、低E 状態による肌の老化はあまり研究されていない。我々はBioelectrical Impedance Analysis(BIA)で肌年齢、肌の健康状態の客観的評価が可能であることに着目し、E 依存性疾患、外科的去勢および抗がん剤の肌年齢に及ぼす影響について検討した。 方法:2016 年7 月から2018 年5 月までに当科を受診した患者68 例を対象にした。Informed consent の後、肌年齢、肌加齢度(肌年齢- 暦年齢)をWellup 社製の肌年齢測定器(Well-Beauty、BIA 法)で測定した。①有経女性でE 依存性疾患患者(主に子宮筋腫や子宮体癌、n=19)とE 非依存性疾患患者(主に子宮頸癌、n=38)の肌年齢や肌加齢度を比較した。②有経女性で外科的去勢(n=15)による肌年齢、肌加齢度の推移を卵巣温存群(n=11)と比較した。③閉経女性で婦人科悪性腫瘍の標準手術(含:卵巣摘出術)と化学療法を受けた患者(n=6)と標準手術のみを受けた患者(対照、n=5)で肌年齢、肌加齢度の推移を比較した。有意差検定はStudent t-test、χ2 検定で適宜行った。 結果: 1 )E 依存性疾患患者ではE 非依存性疾患患者に比較して肌が有意に若かった( 肌加齢度:-1.0±1.4 歳vs.+2.5±0.6 歳、p<0.01)。 2 )去勢後6 か月で肌年齢は有意に悪化したが、卵巣温存群では変化しなかった(肌加齢度の推移:+3.5±1.4歳vs.-0.2±0.8 歳、p<0.05)。 3 )化学療法群の化学療法終了12 か月後の肌年齢は、対照に比較して有意に悪化した(肌加齢度の推移:+10.5±3.3 歳vs.- 3.8±3.4 歳、p<0.05)。化学療法により、肌年齢が5 歳以上若い女性の割合も有意に減少した(5/6 から1/6、p<0.05)。 結論:E 依存性疾患患者では肌年齢が若く、外科的去勢による低E 状態は肌年齢にも悪い影響を及ぼす。一方、卵巣温存群では肌年齢は悪化しなかったため、有経期女性の予防的卵巣摘出術には慎重であるべきである。また、化学療法はより高度に肌年齢を悪化させることが判明したため、治療中のケアは重要である。

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