対中関与政策の再検討と日本外交

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タイトル別名
  • タイチュウ カンヨ セイサク ノ サイケントウ ト ニホン ガイコウ
  • Reexamining the U.S. Engagement Policy toward China and its impact on Japan’s Foreign Policy

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説明

米国の対中政策は、冷戦終結以降、中国を国際社会の責任ある一員として誘う「関与政策」を主要な柱としてきた。それは、中国の台頭に対し、協調政策とヘッジ政策を巧みに組み合わせ、政治的、軍事的対立が顕在化しないよう忍耐強く協力関係を構築するものだった。しかし、米国内では、中国の急速な経済成長と軍事力増大の一方で、政治的自由化と民主化が一向に進まなかったという期待外れの認識が広がった。このため、従来の「関与政策」は終焉を迎え、トランプ政権は、「戦略的競争」という新たな対処方針で臨んでいる。これは、メディアが喧伝するような「新冷戦」という状況ではない。むしろ、トランプ大統領の激しい挑発的言動と予測不能性、中国の軍事力を背景とした威嚇的行動などの組み合わせによって、誤解と誤算が生じ、アジアの火薬庫と想定される地域での「熱戦」が発生する恐れもある。この「戦略的競争」の目的はどこに設定されるのか、など不明な点も多い。今後の米中対立の特質と影響を論じていく。

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