前腕高度腱損傷・皮膚欠損に対して段階的再建術を施行した1例

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抄録

鉈を用いた自傷行為による,前腕伸側の高度腱損傷と軟部組織欠損の1例を経験した.初診時はデブリドマンと損傷組織の同定・評価を行い,その結果,全伸筋腱の断裂に対する腱機能再建と,軟部組織欠損に対する遊離皮弁術が必要と判断した.受傷7日後に腱移植・腱移行による機能再建と,深下腹壁動脈穿通枝皮弁による軟部組織再建を行った.再建術後早期に可動域訓練を開始し,良好な機能回復を得ることができた.重度四肢外傷の治療において一期的手術が難しい症例には,初診時はデブリドマンと損傷部位観察にとどめ,後日可及的早期に確定的治療を行う段階的治療が行なわれる.複雑な損傷である高度四肢外傷は,早期の再建が望ましいが,綿密な治療計画は成功への最も重要なステップである.そのために,初療の段階から専門医が積極的に治療に関与していく必要がある

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