北海道網走および根釧地域における火山性土壌のアロフェン含有率とその化学的特性 : 火山性土のアルミニウム過剰害対策に対する新技術の提案

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  • ホッカイドウ アバシリ オヨビ コンセンチイキ ニ オケル カザンセイ ドジョウ ノ アロフェン ガンユウリツ ト ソノ カガクテキ トクセイ : カザンセイド ノ アルミニウム カジョウガイ タイサク ニ タイスル シン ギジュツ ノ テイアン

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抄録

北海道の網走・根釧地域の火山性土のアロフェン含有率と構成粘土鉱物を調べた。これらから,アロフェン生成に必要な堆積年数とアロフェンの存在による生物に有害な水溶性アルミニウムの溶解度に及ぼす影響から,有害なアルミニウム抑制対策への利用の可能性について検討し,つぎの結果が得られた。1) テフラのアロフェン含有率5%以上はテフラの堆積後数千年から数万年の期間が必要である。そのため堆積後数百年のテフラのアロフェン含有率は低く,水溶性アルミニウム濃度は高い。今回の調査で最も高かったアロフェンはMa-eの19%であった。2) 現在アロフェン質黒ボク土の尺度であるAlp/Aloはアロフェン含有率と高い負の相関関係にあり,Alp/Alo0.5はアロフェン含有率の3%に相当する。3) 何らかの方法でAp層にアロフェンが混入すると水溶性アルミニウム濃度が著しく低下する。したがって,深耕または耕地の均平化で作土中アロフェンが上昇し,土壌中アルミニウム活性を低下させる。しかしジャガイモそうか病のような土壌病害もアルミニウムイオン活性の低下で抑制されないので,その発生が高まる可能性がある。それ故適正なアロフェン含有の保持は作物生育の促進と,土壌病害抑制のバランスをとらなくてはならない。4) 網走・根釧地域の堆積後数万年未満のテフラでは結晶性粘土鉱物はほとんど検出されない。根釧地域の海岸近くの試料には津波の影響と思われる結晶性の粘土鉱物が検出された。5) 0.1N HCl-Cuは黒ボク土の腐植含有率と負の相関がある。以上の結果,下層土に多量のアロフェン質黒ボク土の存在するところでは,これを利用して土壌中の活性アルミニウムの抑制が可能であり,火山国日本の農地の新しい対策法となりうることを提案する。

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