沼正三と天野哲夫--ある覆面作家の素顔をめぐって

書誌事項

タイトル別名
  • Numa Shozo and Amano Tetsuo: in search of an anonymous writer
  • ヌマ ショウゾウ ト アマノ テツオ アル フクメン サッカ ノ スガオ オ メグッテ
  • Numa Shozo and Amano Tetsuo: in search of an anonymous writer

この論文をさがす

抄録

40017125939

application/pdf

本論は『家畜人ヤプー』の作者であり、その全貌がいまなお明かされていない覆面作家沼正三と、1970年頃から沼の代理人として活動し、1983年に自身が沼だと名乗り出て以降も、沼との距離を注意深く保ってきた作家、天野哲夫に関するものである。2008年11月30日に死去した天野が沼の本体だという意見が主流を成す一方、天野が沼の本体ではないという意見は今日においてもなお支配的である。しかし、本論は沼の真の正体を考察するものではない。元来、仮想の人格を持った架空の人物として設定されていた「沼正三」が、何故、現実に存在する一個人であるという前提で語られてきたのかという点を問題にしつつ、『家畜人ヤプー』の作者の正体をめぐる騒動であった1980年代初頭の「『家畜人ヤプー』事件」を中心に、沼という覆面作家を巡る議論がどのように展開されたかを論じると共に、体系的に語られることのなかった天野について、沼としての天野ではなく、沼と対位法を成す存在としての天野を論じていく。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ