当院における新生児 GBS感染症の現況

抄録

B群連鎖球菌( GBS: Group B St reptococcus)は、新生児において時に敗血症や髄膜炎などの重 篤な感染症を引き起こすが、米国では1996年の予防ガイドライン導入以降、ハイリスク妊婦に対して抗菌薬の予防投与が行われるようになり,早発型GBS感染症の発症率が激減した (発症率:1.7/1000人→ 0.32/1000人)日本においても2008年から予防ガイドラインが明文化されたが、ガイドライン導入以降、2004年から2010年までの成績をまとめた報告が1件あるものの、発症率の変化については明らかとなっていない。また、発症した際の症状が重篤であり、死亡率や後遺症率が高いことも依然として問題となっている。当院でも予防ガイドラインを参照し随時方法を更新しながら妊婦健診時にGBSスクリーニングを行っているが、過去5年間で3例の新生児GBS感染症を経験した。3例とも発症時の症状は激烈であり、またそのうち1例では重篤な後遺症を発症した。我々にとっては、新生児GBS感染症の重症度と、また予防の重要性をあらためて痛感する診療経験であった。今回、当院におけるGBSスクリーニングの現況と新生児GBS感染症の発症状況を検討したので報告する。

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