ブーアスティンは消費者の粗雑な類型論を展開した本質主義者だったのか --D. ブーアスティン観光論/消費社会論の批判的再構築--

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  • 谷川, 嘉浩
    京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Is Daniel Boorstin an Essentialist Who Spread the Invalid Categorization of Consumers? --A Critical Reconsideration of Boorstin's Theory of Consumption--
  • ブーアスティン ワ ショウヒシャ ノ ソザツ ナ ルイケイロン オ テンカイ シタ ホンシツ シュギシャ ダッタ ノ カ : D.ブーアスティン カンコウロン/ショウヒ シャカイロン ノ ヒハンテキ サイコウチク

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抄録

本稿では, 消費社会論・メディア論・観光研究などの分野で知られる歴史家のダニエル・ブーアスティンに向けられた二つの批判を再考していく. それは, 彼がエリート意識に裏打ちされた「本質主義」に陥り, また, 粗雑な一般化に基づいて実情を反映しない消費者の類型論を展開したという限界である. 本稿で, 先行研究が怠った作業 --イメージや疑似イベントといった基本概念の再定式化を行うことで, これらが的外れであることを示す. さらに, 彼の議論は, 私たちの感性の構造的変質を主題化して, 「消費者の構造的受動性」を批判しただけでなく, イメージを読み解き, 組み合わせる能動的な消費者という論点を提出したり, マクドナルド化(形式合理化)批判の先鞭をつけていたりする点で, ごく現代的な消費社会論でもあることを, 彼の観光論を例に明らかにする.

収録刊行物

  • 人間・環境学

    人間・環境学 28 119-133, 2019-12-20

    京都大学大学院人間・環境学研究科

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