環境損害における米州人権条約の領域外適用―「環境と人権」に関する米州人権裁判所勧告的意見No.OC-23/17 を素材として―

書誌事項

タイトル別名
  • The Extraterritorial Application of the American Convention on Human Rights in the Context of Environmental Damage: A Re-Examination of the Inter-American Court of Human Rights’ Advisory Opinion on the Environment and Human Rights

説明

米州人権条約第1 条第1 項は、「その管轄の下にある全ての人」について、条約に定める人権を確保する義務を締約国に課す。条約の締約国の国家領域が「管轄」に含まれることに異論はないが、締約国がその領域の外で行ういかなる行為に対して条約が適用されるかが問題となる。これが領域外適用といわれる問題である。では「管轄」の範囲はどのような基準により判断されるべきか。判例法は恣意的拘禁や軍事占領の事例において一定の基準を示してきた。しかし、環境損害の場合について「管轄」の基準を明らかにした判例法及び先行研究は存在しない。そのようななか、コロンビアの諮問を受けた米州人権裁判所は、2017 年11 月15 日の勧告的意見で、この問題を正面から扱い、環境損害における「管轄」の基準を初めて提示した。そこで本稿は、この勧告的意見の検討を通して、環境損害の領域外適用の問題、すなわち、環境損害の事例における「管轄」の基準とは何か、また、それにより締約国の確保義務違反が成立するのは、いかなる条件の下においてかを明らかにする。こうした課題の解明により、「環境と人権」の関係に関する議論をさらに前進させるための視角を提供することが期待される。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050285299769584768
  • NII論文ID
    120006846343
  • ISSN
    24239798
  • Web Site
    https://setsunan.repo.nii.ac.jp/records/1332
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

問題の指摘

ページトップへ