看護学生に視聴覚教材をオンデマンドに閲覧させる学習支援環境の評価 第2報-教育的効果の再現性の検討-

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抄録

本学看護学科専門基礎科目の補助教材として選定した視聴覚教材を本学ウェブサイトからオンデマンドに閲覧できるように構築した学習支援環境を平成23年度も看護学科専門基礎科目1科目に継続して同様に使用した.本研究の目的は,この学習支援環境に対する学生の反応を調査し,昨年の先行研究で得られた教育効果の再現性を考察することである.看護学において,教育に対する情報通信技術の効果的活用への関心は依然高く,看護学教育における効果や活用方法に関する知見を深めることは重要である.本研究は,上記1科目の履修登録をした本学看護学部看護学科2年次生55名のうち,質問紙調査への参加に同意の得られた54名の有効回答を用いた量的研究で,本学倫理委員会の承認を得て実施した.調査の結果,63.8%の学生が自宅で閲覧し,44.5%の学生が概ねアクセスしやすいと回答し,昨年の先行研と比較して有意差は認められなかった.66.6%の学生がオンデマンドの視聴覚教材の活用は予習に役立った63.0%の学生が復習に役立った,59.2%の学生が各自の学習目標達成に有用だったと回答した.さらに,85.5%の学生が当該科目終了後もオンデマンドによる閲覧の継続を希望した.予習,復習における有用性に昨年の研究結果との有意差は認められなかったが,各自の学習目標達成に対する有用性においては,昨年に比較して有意に低下した.本学習支援環境における,各自の学習意欲に応じて視聴覚教材を何度も繰り返してみることができるという効果は継続して得られた.しかし現状では,閲覧場所は自宅,大学,またはその他のネットワーク接続可能な場所に限られ,一方向の情報提供に留まっている.今後,携帯可能な情報通信機器の活用,明瞭な画像提供のための帯域幅の増加,視聴覚教材選定の改善や視聴覚教材の新たな開発を行うことで,本学習支援環境の効果をさらに高める可能性が推測された.これらの結果から,視聴覚教材をウェブサイトの共有動画ファイルとしてオンデマンドで閲覧できるシステムに潜在する問題を解決することによって,主体的に実践的看護技術の学習に取り組む学生の学習支援環境拡大に更に貢献すると言える.

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