カウツキーと歴史的人口法則

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タイトル別名
  • カウツキー ト レキシテキ ジンコウ ホウソク
  • Karl Kautsky on the historical law of population

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説明

カール・カウツキー(Karl Johann Kautsky 1854-1938)は,マルクス主義の理論家であっただけでなく,歴史研究においても多くの足跡を残した。カウツキーは史的唯物論を歴史研究に適用することに強い関心を持つ一方,ダーウィニズムおよびマルサス人口論からの影響も受けていた。そのような基礎の上で,カウツキーは歴史的人口法則について独自の考察を展開している。本稿はマルサス人口法則に対するカウツキーの立場をふまえ,近代以前から資本主義にいたるまでの人口法則に関するカウツキーの考察を検討する。カウツキーは,マルクス主義的な立場からマルサス人口法則のイデオロギー的性格を批判しつつも,食物範囲が人口を制約するという枠組みという点では重視していたことを示す。また農業生産力の発展と農村の過剰人口の都市への移動が社会進化をもたらしたと認識していたこと,19世紀後半以降の西欧諸国での出生率低下に対しては,女性の就労や都市化などにふれつつ,食物範囲と人口との関係を否定するものではないと考えていたことも取り上げる。

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