一般市中病院小児科におけるドクターカー運用

書誌事項

タイトル別名
  • イッパンシ ジュウ ビョウイン ショウニカ ニ オケル ドクターカー ウンヨウ

この論文をさがす

抄録

type:Article

【背景】当院は365日24時間の小児二次救急病院として年間約2,000台の小児の救急搬送を受け入れている。当院では小児救急患者の診療は初療から小児科医師が行っているが、小児科内で救急外来での初療を専任にする医師はいない。このような一般市中病院小児科におけるドクターカー運用について検討した。【対象と方法】2016年10月から2018年7月までにドクターカーが出動した小児症例をカルテ記載に基づき後方視的に検討した。【結果】出動件数は7例で、年齢は7ヵ月から15歳、出動要請理由は心肺停止3例、呼吸停止1例、けいれん重積2例、アナフィラキシー1例であった。転帰は患者接触時に心肺停止状態であった2例は蘇生に反応せず死亡、4例は経過観察を含めた入院、けいれん重積の1例はてんかん発作の頓挫を確認後の帰宅であった。出動要請からドクターカー出動までの時間は6分、当院から患者接触までの移動時間は9分、現場滞在時間は8分(全て中央値)であった。出動中に施行した処置は気管内挿管1例、骨髄針留置1例、末梢静脈路留置4例、アドレナリン筋肉内注射1例、薬剤投与5例であった。【考察】当院でのドクターカー出動により通常の救急搬送に比べ初療までの時間は9分早まったと考えられた。また出動7例中6例に現場での処置を要しており、出動回数は少ないものの小児救急患者でもドクターカーを運用する意義はあったと考える。出動要請から出動までの時間短縮が課題であるが、救急外来での初療を専任にする小児科医師のいない当院では、それぞれ日常診療を中断する必要があるため、すべての出動要請に対応することには限界がある。実際に心肺停止の1例は出動医師の調整に手間取り、救急科医師が出動した。出動件数の少ない一般市中病院で小児救急患者に対して今後も効率的にドクターカーを運用していくには小児科医師と救急科医師との連携をより深めていくことが必要である。(著者抄録)

identifier:兵庫県小児科医会報 73号 Page26-31(2020.)

identifier:1340-5055

identifier:http://kintore.hosplib.info/dspace/handle/11665/1801

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ