書誌事項
- タイトル別名
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- Rethinking the Economic Cycle in World History : Theoretical Studies Using the Malthusian Model with Historical Technological Changes
- 「 セカイテキ ケイザイ ジュンカン 」 サイコウ : MMHTC ニ ヨル リロンテキ コウサツ
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説明
本論文は紀元後における世界経済成長牽引役の交替を伴う世界的経済変遷を「世界的経済循環」とした上で、「世界的経済循環」を理論的に解明している。 本論文は「世界的経済循環」及び「歴史的中国経済周期」の理論的側面について、歴史的技術変化を伴うマルサスモデル(Malthusian Model with Historical Technological Changes:MMHTC)を用いて説明を行っている。MMHTC はマルサス的停滞から現代成長へ、そして現代成長から定常状態へという紀元後の世界経済史における2回の大きな成長経路「転換」を2 回の大分岐(それぞれ「大分岐Ⅰ」及び「大分岐Ⅱ」)として、これらの大分岐の起因と経済史的意義を理論的に説明するものである。本論文は「大分岐Ⅰ」及び「大分岐Ⅱ」は歴史的技術変化によって達成され、歴史的技術変化はロジスティック的技術周期更新によってもたらされるとする歴史的技術変化を伴うマルサスモデル(MMHTC)を理論展開している。歴史的技術変化はLVC(Lotka-Volterra Competition)モデルにおける「生存型競争」(完全代替型技術競争)、「共存型競争」(補完型技術競争)によって達成されると考える。歴史的技術変化をもたらす経済史的起因を照らし合わせれば、「大分岐Ⅰ」は「生存型競争」による技術周期更新がもたらすものであり、「大分岐Ⅱ」は「共存型競争」による技術周期更新がもたらすものであると考えられる。 本論文の主な結論は以下の通りである。第1 に、歴史的技術変化は地球的資源に制約されているが故に、技術周期が更新されるほど、利用可能な地球的資源は少なくなり、よって、歴史的技術変化を新たな経済成長源泉とする長期的限界経済成長率は逓減する。21 世紀以降に現れる「世界的限界経済成長性逓減」(大分岐Ⅱ)はそのことを立証しているように思われる。第2 に、紀元後の世界的経済循環における2 回の「大分岐」はいずれも中国歴史的経済周期が関わっており、「大分岐Ⅰ」では、中国経済は長期衰退期に入り、「大分岐Ⅱ」においては、中国は新たな経済周期が始まっている。第3 に、明清時代の中国は長い寒冷期に入り、清の繁栄期である「康乾盛世」以降は、中国は約100 年という長い衰退期に入っている。この時期に日本及び欧米諸国は産業革命により「大分岐Ⅰ」を経験していた。一方、20 世紀80 年代以降、これまでの王朝型経済周期と異なる新たな中国経済周期が始まり、それと同時に長期的経済成長という視点から見れば、欧米諸国はKindleberger(1996)が言う国家周期における下降期に入っており、21 世紀以降の世界経済は「大分岐Ⅱ」における「世界的限界経済成長性逓減」という段階に転じていると思われる。「21 世紀世界的経済現象」は「大分岐Ⅱ」と新たな中国経済周期とが重なった時の世界的経済現象である。
収録刊行物
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- 京都産業大学世界問題研究所紀要
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京都産業大学世界問題研究所紀要 36 111-137, 2021-03-30
京都産業大学世界問題研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050287750844019584
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- NII論文ID
- 120007018530
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- NII書誌ID
- AN00060101
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- HANDLE
- 10965/00010543
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- NDL書誌ID
- 031405641
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- ISSN
- 03885410
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- NDL
- CiNii Articles