諺の妥当性の科学的検証とその解釈—「転石苔を生ぜず」の真意は?—

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タイトル別名
  • Scientific verification and interpretations of the universality of proverbs — Real meaning of “A rolling stone gathers no moss” —
  • 諺の妥当性の科学的検証とその解釈 : 「転石苔を生ぜず」の真意は?
  • コトワザ ノ ダトウセイ ノ カガクテキ ケンショウ ト ソノ カイシャク : 「 テンセキ コケ オ ショウゼズ 」 ノ シンイ ワ?

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説明

諺の「転石苔を生ぜず」の意味について考察した。この諺は英国、米国でその意味内容が異なり、わが国においても二つの異なる解釈が共存している。この諺に出てくる苔については、陸生の苔植物を考えるのは適当ではなく、苔としては藻類や細菌類も含む広義の苔という意味で考えるべきであるように思われる。そして、温泉水中では、ビオファンゴや医薬品などに使われる有益な藻類や菌類を想定する場合は、英国流の解釈が可能であり、レジオネラ属菌のような有害な細菌類を想定する場合は米国流の解釈が妥当であると考えられる。

また、広義の苔として、生物としての苔ではなく、温泉沈殿物のようなものを考えた場合は、石や水の流動は沈殿速度の増加をもたらし、「転石苔を生ぜず」ではなく、「転石苔を生ず」のような傾向が成り立つ。この場合、苔としは温泉沈殿物としての温泉華(湯の華)や温泉スケールのようなものが考えられるが、温泉華のような有用な沈殿物の場合は英国流の解釈が可能であり、スケールのような不用な沈殿物の場合は米国流の解釈が可能であると考えられる。この場合、英国流の解釈は、結果的には米国的な意味合いになり、米国流の解釈は、結果的に英国的な意味合いになる。

英国や米国以外の英語圏の国々での使われ方としては、カナダは米国的な使われ方が多く、オーストラリア、ニュージーランドは英国的な使われ方が多いようである。しかし、米国でも地域によっては英国的な解釈がなされたり、英国でも個人的に米国的な使い方をする人もいるようで、カナダや、オーストラリア、ニュージーランドなどの国々でも、両方の使われ方が国内で共存しているようである。

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