漢語接尾辞「チュウ」(中)の成立に対する考察 : 接尾辞「チュウ」「ヂュウ」の歴史を背景とする

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タイトル別名
  • カンゴ セツビジ 「 チュウ 」(ナカ)ノ セイリツ ニ タイスル コウサツ : セツビジ 「 チュウ 」 「 ジュウ 」 ノ レキシ オ ハイケイ ト スル

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抄録

本論文では、現代語で【範囲内】の意味を担う漢語接尾辞「チュウ」(中)の成立過程について通時的考察を行った。ここでは主に近世期資料をもとに次の点を指摘した。  ・近世前期の話しことばには【範囲内】をあらわす接尾辞「チュウ」を認めない  ・近世後期の噺本類資料には【範囲内】の接尾辞「チュウ」の確例を確認できる  ・ 一方で近世中期の記録文『広橋兼胤公武御用日記』には【範囲内】(アスペクト的用法)をあらわす接尾辞「中」が確認できる これらのことから、【範囲内】をあらわす接尾辞「チュウ」は、漢文脈で用いられていたものが近世後期に話しことばへと導入されたとする見通しを提出した。 また、先行研究の指摘を踏まえ、現代語で【範囲全体】をあらわす接尾辞「ヂュウ」との歴史的関係についても整理を行い、日本語のいわゆる清濁の歴史との関係にも言及した。

identifier:KG002800010758

収録刊行物

  • 京都語文

    京都語文 28 1-22, 2020-11-28

    佛教大学国語国文学会

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