副詞「もし」の通時的変化とその周辺

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  • フクシ モシ ノ ツウジテキ ヘンカ ト ソノ シュウヘン

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抄録

副詞「もし」は、本来、推量・疑問・仮定の三者と共起する用法をそなえ、事柄の不透明な実現性・現実性を表す副詞であった。近代語ではその用途が次第に仮定中心になり、ほぼ近世後期を境に、仮定の副詞となる。近代語では、助詞「も」「や」「か」が、「もし」と一体化した「もしも」「もしや」「もしか」などが現れて、推量・疑問にはそれらが優勢化し、「もし」の仮定専用化を補完した。仮定の用法は、本来順接の仮定に限られていたが、逆接の仮定にも徐々にその用途を広げ、現代語ではほとんど順逆を問わない仮定の副詞になってきている。「もし」の周辺には「万一」「自然」「ひよつと」などの類義語もある。それらも、その語義がより分析的具体的であるだけ、「もし」の表示性と両立しうることによって、「もし」における仮定-推論の副詞化を支えたと推測できる。

identifier:KG000600000365

収録刊行物

  • 京都語文

    京都語文 6 106-125, 2000-10-07

    佛教大学国語国文学会

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